イルカの優しさと戦略~魚を譲る?横取りされた?

🐬イルカの“優しさ”と“戦略” ~魚を譲る?その理由

8月の奄美大島での空撮中、イルカがシーラ(魚)を追い詰め、そこにサメが現れてそれを捕食した。
イルカが取られたような様子はなく、「与えた」ようにも見えた。このような“魚の譲渡”とも取れる行動は、
何かしらの共存や戦略を感じさせられた。

考えられる背景

1. 捕食リスクを分散させる「戦略」?
イルカはサメを“完全な敵”とは見なさず、あえて魚を譲ることで
•自身や子ども仲間が狙われるリスクを下げているのかも?
•サメの注意を他にそらす行動なら
これは「トレードオフの共存」と呼ばれるような生態的戦略と似ています。

2. サメとイルカの“狩の特性の違い”

サメとイルカは、同じ海にいてもまったく違う方法で獲物を探します。
🔹 イルカ
•聴覚(エコーロケーション)と視覚を使って、魚の位置を正確に把握
•群れで連携して囲い込み、追い詰めるのが得意
•「どこに何がいるか」を瞬時に判断できる=水中の“索敵マスター”
🔹 サメ(例:ネムリブカやイタチザメなど)
•目があまりよくないと言われるが、電気感覚嗅覚で魚を探す
•見つけたら一撃で仕留める“直感型のハンター”
•特に狭い範囲に入ってきた獲物に反応しやすい

イルカは「索敵・誘導」に強く、
サメは「反応・捕食」に強い。
➡️ イルカが魚の動きを読んで“止めて”
➡️ サメが“当てて”くる
という役割分担的な流れが、水中で自然と起きていてもおかしくない

3. イルカは遊び感覚でシーラを追っていた?
イルカの「遊び」は捕食行動とも曖昧なラインがある。
•ウミガメやフグで遊ぶ(咥えて投げたりする)
•追い詰めるだけで食べない魚も多い
= もしかすると、イルカが遊んでた獲物をサメが横取り
→ イルカ的には「まーお腹空いてないし別にいーよ」的な状態かも?

📚 研究の不足・今後の期待

現時点では、
イルカが意図的に魚を譲る行動
イルカとサメが協力して狩りをする事例についての信頼できる研究は見つかりませんでした。

ただ、共存的関係(symbiotic relationship)利他的行動(altruistic behavior) の研究対象として
研究者さんたちには非常に面白い事例の映像だと思う。

イルカが魚を譲るように見えるシーンの背景には
ただの“偶然”かもしれないし、“戦略的な共存”かもしれない。
けどそれを判断するには、まだまだ多くの観察とデータが必要。
でも少なくとも、イルカがただの「狩る者」ではなく
相手や場面に応じて行動を変える“考える動物”であることは確かかなと思う。

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