【イルカスイムのルールとマナー】自然のイルカと向き合うために守りたいこと

🐬イルカと向き合うということ

〜棒事件と御蔵島スイムルールの本当の意味〜

🧭「ルールを守る」って、どういうこと?

御蔵島の海には、野生のイルカが人間と近距離で泳いでくれるという、世界でも類を見ない貴重な体験ができます。
でもそれは、「ただ泳げる」ことがすごいのではなく、人間がイルカたちに“信頼されている”からこそ成立している体験です。
だからこそ、御蔵島にはいくつかのスイムルールが存在しています。
ただの制限ではなく、信頼関係をつなぐための最低限の配慮として、ツアー参加者や事業者の間で共有されてきました。

🐬スイム2日目、起きた「棒事件」

午後1時半。午後便に出発する直前、参加者の二人が長い自撮り棒(GoPro用)を持参して現れた。
御蔵島では自撮り棒の使用は禁止されています。理由は明確で、イルカに威圧感や警戒心を与えるためです。
短いグリップ程度の機材のみ、“ギリギリOK”として扱われていますが、
今回のものは誰が見ても「禁止レベル」の長さ。
「他の宿ではOKだった」
「他の島では問題ない」
「これじゃ、何のために来たのか分からない」
その人は納得せず、何度も異議を唱えました。
ガイドが繰り返し「うちの宿では禁止です」と丁寧に説明しても、まったく聞く姿勢はない
最終的に「GoProの根元を握ることを約束」という条件付きで出航となりました。

でも、海に入ると

結局、その人は約束を破り、棒の中央を持って堂々と撮影を始めました
それだけではない。我々が撮影した映像にも何度も映り込み、結果的にその日の映像素材は全滅。
使用できるカットはほぼゼロ。せっかくの体験と記録が台無しに。
そして何より衝撃だったのは、
その人の周囲に、イルカがほとんど寄っていなかったこと。
イルカたちと目を合わせるような自然な動きではない
イルカよりも自分達
その態度に、イルカたちが違和感を示したのかもしれません。

🚨この行為が及ぼした「3つの重大な影響」

1. 野生動物保護と信頼関係への悪影響
イルカは非常に繊細な生き物であり、人間の持つ棒状の物体に対して警戒する傾向があります。
そのため、棒状カメラ機材は禁止というルールが確立されています。
今回のような軽視は、これまで築かれてきた「イルカとの信頼関係」を壊すリスクもある。
一人のルール違反が、その後の参加者すべての体験の質を下げる可能性も。

2. 地域ルールの軽視とツアー運営の妨害
御蔵島ではドルフィンスイムのルールがいくつか設けられており、特にイルカとの関係性を重視して運営されています。
これを「自分の都合で勝手に捻じ曲げる」行為は、地域全体の運営の妨害にほかなりません。
さらに、他人の記録映像に勝手に映り込み、
他者の体験・記録・尊厳まで踏みにじる行動は、観光地としての御蔵島の信頼にも関わります。

3. GoProブランドイメージへの影響
その人物は「GoProのアンバサダー」だと名乗っていました。
数万単位のフォロワーがいるインフルエンサーです。
そんな立場の人が、現地のルールを破り、注意を無視し、他人の映像を台無しにし、SNSに投稿する。
これが公になれば、GoPro自身のブランドイメージや社会的責任にも関わる問題です。
この件について、私は正式にGoPro本社宛に苦情メールを送付しました。
プロモーションのために野生動物との信頼を損ねる行為を、企業として許してよいのか?
選定と教育の見直しを求めています。

🔁ルールが人を考えなくさせる危うさ

ルールは大切です。
でも、それは「考えるための土台」であるべきで、「考えなくて済む逃げ道」になってはいけない。
「ルール通りにやってるから問題ない」
「規定の長さ内だから何をしてもいい」
そうやって、自分の行動が生き物にどう影響を与えるか、考えなくなる。
向き合う姿勢”を持てない人が、イルカと泳いでも、イルカたちは心を開いてくれない。
現場で見るイルカの反応が、それを証明していると思います。

🌊人間の手でつないできた信頼を、壊さないために
御蔵島のイルカたちは、これまで何十年もかけて「人間=怖くない存在」と感じてくれるようになった。
その関係を壊すのは、ほんの一瞬。
自撮り棒1本。たったそれだけで、イルカとの距離が変わってしまう。
それは、ただの“便利”と“映え”の代償としては、あまりにも大きい。

🐬さいごに:画面越しじゃなく、心でイルカを見るために
イルカとのスイムは、“撮れたかどうか”じゃない。
“泳げたかどうかよりも
「どう感じたか」だけが、体験を豊かにしてくれる。
イルカとの信頼関係を守るために。
そして、これから出会う誰かが、またあの奇跡のような時間を過ごせるように。
一人ひとりが考えること。
それがこの海で過ごす最大の優しさだと思います。

📘 関連記事:

▶ [ホエールスイムのルールが年々変わっていく話]

🌐 関連リンク:

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🔗 御蔵島観光協会公式サイト

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