【イルカたちが呼び合う名前?】シグネチャーホイッスルの不思議|海の中ので交わされる音の会話

🐬 イルカには名前があるって知っていますか

by yu-/dolphinsYU

― 音で呼びかけ、つながり合う海の会話 ―
海を自由に泳ぐイルカたち。
私たち人間のように、彼らが「〇〇ちゃーん!」と名前を呼び合っているとしたら…どう思いますか?



📛 シグネチャーホイッスルとは?
イルカの“名前”にあたる音
バンドウイルカやコモンイルカなどの種では、一頭ずつが独自の音のパターンを持っていることが知られています。
この音は「シグネチャーホイッスル(Signature Whistle)」と呼ばれ、仲間同士の識別や呼びかけに使われています。
つまり、イルカたちは名前の代わりに“音”でお互いを区別し、呼び合っているのです。
このシグネチャーホイッスルは、生まれてまもなく作られ、その後も長期間変わらないといわれています。
まさにそのイルカだけに与えられた“声の名札”のような存在です。

📚 研究ではこんなことが分かっています
出典: Janik, V. M., & Sayigh, L. S. (2013). Communication in bottlenose dolphins: 50 years of signature whistle research.
▶︎ PubMedの論文リンクはこちら

✏️ 論文を簡単に訳すと、こんなことが書かれています👇
•バンドウイルカは生後数ヶ月で“自分だけの音”を作る
•その音は「名前」のような役割を持ち、一生使い続ける
•仲間のホイッスルを聞き分けて、個体を識別している
•特定の相手を呼ぶときは、そのイルカのホイッスルをまねる
•つまり、海の中で「〇〇ちゃーん!」と呼び合っているようなもの

🌊 実体験:水中で「呼びかけ」の瞬間に出会った
僕が御蔵島でドルフィンスイムをしているとき、あるホイッスルの音をきっかけに、
バラバラに泳いでいたイルカたちが一斉に方向転換する瞬間がありました。
まるで「集合ー!」と仲間に呼びかけているようで、
音による“チームプレイ”のような動きでした。
もちろん、その音が「名前」かどうかまでは分からない。
でも、あの呼びかけには“個体間の意思疎通”があったように感じました。
水中のイルカたちは、きっと僕らの想像以上に複雑で繊細なコミュニケーションをしているのかもしれません。

🐬 ウインクにも、きっと“名前”がある
御蔵島で出会った、片目のイルカ「ウインク」。
彼(彼女)は、人に近づいてきては、目を合わせるようにこちらを見つめてくれるイルカです。
そんなウインクにもきっと、「名前の音」があります。
群れの誰かが「ウインクー!」と呼ぶ時、その音が水中に響き、
ウインクが振り返ったり、近づいたりしているのかもしれません。
僕が水中でウインクと目を合わせたその瞬間。
もしかしたら、すでに“名前”のやりとりは始まっていたのかも、と思うと、
言葉ではなく「音」でつながる世界が、少しだけリアルに感じられます。

🐋 音がつくる、イルカたちの“関係性”
私たちはつい「イルカの鳴き声」とひとくくりにしてしまいますが、
彼らにとって音は、名前であり、呼びかけであり、家族との絆でもあるのかもしれません。
そして
•外敵への警戒•仲間との再会
そのすべてを、“名前の音”が支えている。

🌐 まとめ:イルカたちは“音の名前”でつながっている
私たちはつい、イルカをただかわいい動物、賢い動物としてひとまとめに見がちです。
でも、その一頭一頭に名前のような音があり、それによって関係を築いているとしたら?
そう考えると、彼らの世界はずっと立体的で、温かく、知性に満ちて見えてきます。
次にイルカと出会ったときは、彼らの「音」にもぜひ耳を澄ませてみるとイルカの世界感が少し違って見えるかもしれない。
それは、あなたへの“呼びかけ”かもしれません。そう思うとドルフィンスイムもまたさらに楽しくなる気がします。

🌐 関連リンク:

アメリカ国立医学図書館(NLM)が運営する、世界最大級の生物医学・生命科学系の論文データベース

🔗その他の論文

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